【fjconsultants365日Blog:3,764投稿目】fjコンサルタンツ藤原毅芳

給与もダイナミックプライシングで考えてみる

ダイナミックプライシングが認識されるようになりつつあります。
ユニバーサルスタジオは繁忙期になると入場料が上がるシステムに
切り替えました。
1,000円程度上がるようです。

ダイナミックプライシングとは価格変動制。
需要と供給によって価格が変動する仕組みです。
時間によっても変動するので得したと感じる時もあれば損をした気分に
なることも。
それも経験によってだんだんと慣れてきます。
価格変動を受け入れるようになると思います。

ところでダイナミックプライシングを考えていたら給与の設定について
も柔軟に考えてもいいのではないかと思い始めました。
あと数十年したら会社と社員の雇用関係は「フリーランス」契約が主流に
なると予想されています。

先取りになってしまいますが給与のダイナミックプライシングを少し強引
ですが考えてみたいと思います。

給与に正解はない

給与については議論が尽きることがありません。
何故でしょうか?

給与は仕事(実績)の評価と言われていますが実際には年功序列の
比重が重くなっています。
そのため若手のスタッフが実績を出しても給与に大きく反映される
ことがありません。
逆に大した実績を上げていなくても社歴が長いという理由と過去の
実績を評価されて給与が高い人もいるのが現実です。

ただこの制度も新卒から定年まで終身雇用を前提にしているので終
身雇用が崩壊すれば成立しなくなります。
ちょうど終身雇用の崩壊がはじまった時期に来ていると感じます。

下記グラフは平成29年の入職率・離職率の推移グラフ。

入職率離職率の推移H29度
入職率・離職率の推移H29度

【出典】
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/18-2/dl/kekka_gaiyo-01.pdf


この年は、

  • 常用労働者数:4,940万人
  • 入職者数:788万人(16.0%)
  • 離職者数:734万人(14.9%)

となっています。
1年で15%前後が入れ替わっているのがわかります。

この現状では、今までの給与体系では全てを網羅できないということです。
これは企業規模に関わらず発生しています。
時代に対応できていないとも言えるでしょう。

端境期は変化させるタイミングに迷いますが少しずつ変更していく
ことは必須だと感じます。

定年退職金で完了する仕組み

終身雇用のシステムは雇用を定年まで保証するかわりに
20代30代の時は給与を低く抑えてあります。
年齢とともに給与が徐々に上がる仕組みで定年&退職金で
累計生涯賃金が相当の額になるように設計されています。

定年前の方の言葉が忘れられません。
「定年後の設計ができるんだよね・・・今までは何もない
人生だったけど」
という言葉に返答できなかったことが20代のころありました。

これも良いわるいで判断できない事象ですが冷静に見れば
前提条件があってこそ成立する仕組みだと実感できると思います。

会社の寿命が短くなっているので雇用の保証はできなくなる

終身雇用については定年の年齢がだんだんと引き上げられています。
将来もまだ定年延長は続くでしょう。
最終的には定年制度が消滅すると私は思っています。

それと合わせて考えたいのが会社の寿命。
会社の寿命は短くなっているというデータも出ていますが
それが事実だとすれば1人の人が新卒から定年まで働くために
会社が存続できるのかという問題が出てきます。

長く働きたくても会社が存続しないということも視野に入れて
おかなければならないのです。
終身雇用の会社を選ぶということはリスクもあることを忘れては
いけない。
何を選んでも正解ではないということが認識できます。

スペシャリストとして

給与がダイナミックプライシングのような形になるとしたら
どうなるのでしょうか。

価格変動のように給与変動が常に行われることになります。
今でも、「年棒制」は行われています。
1年ごとに給与の見直しを行なっています。
ただ、思ったより年棒制は広がっていないと感じます。
1年間という単位で仕事の評価をすることは難易度が高いのが
要因だと考えています。

それなら、給与が毎日変動制、毎月変動制という可能性は
あるのでしょうか。

実績を評価し給与と連動させるのは、評価する期間が短い方が
実施しやすい。
数値化しやすいことと、実績のプラスマイナス判定が白黒つけ
やすいからです。

これが実現すれば働いている人は季節や月によって働き方を変える
ことができます。

思いっきり仕事をする時期とそうでない時期をつくることもできる
わけです。
1年間のうちで半年だけ働いて、残り半年は自分を充実させるという
働き方も可能になるのです。

もう一方の経営者視点で考えると、実績に応じた給与だと人件費が
変動費になるので経営は少し楽になります。
固定費が増大するというリスクを回避することもできます。

しかし、会社全体の売上げ、利益を最大化させることが思い通りに
ならないことが増えてしまいます。

経営計画をつくってもその通りにならない、スタッフが動いて
もらえないという会社になってしまうのです。

まとめ

こうしてみると給与の変動制は一長一短があることに気がつきます。
もしそのような時代が来たら、経営のノウハウも変化します。

ひとつの目標に全員が向かうという形式は消滅し、自然発生的な
経営を運営していくことになるのです。

海外では国によってそのような働き方、給与体系を実現している
会社もあるので参考になります。

売上げ目標をつくらない、スピードを優先事項にしない、という
経営が行われるということです。

時代とともに臨機応変に対応できるよう準備しておきたいところです。