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~経営には優先順位がある~経営コンサルタント藤原毅芳執筆

会社の実態

日本の法人の実態はよくわかっていない。
経営の中身を公開している上場企業は全体の0.2%にも
満たない。
99%の企業の内容は当事者しかわからないのです。

そのため経営の内容はブラックボックス。
しかし統計データや調査データからわかることはあります。
実態が見えてきます。
今回は国税庁の調査データから眺めてみたいと思います。

赤字企業が減少している

赤字企業が減少しているという記事が出ていました。

赤字企業、8年連続減 17年度、国税庁調査(日経新聞)

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO46303070Z10C19A6CR8000/

内容を見ると赤字企業は減っていますが全体の62%が赤字企業
なっています。

この記事の元データは国税庁の調査。

会社標本調査(国税庁)

https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/kaishahyohon/top.htm

これが元になっています。

2017年の調査結果が新しく公開されているのでその中から
ピックアップしたいと思います。

欠損法人割合の推移

概要の中から抜粋すると

  • 平成29年度分の法人数は270万6,627社
  • 欠損法人は168万7,099社で、欠損法人の割合は62.6%
  • 営業収入金額に対する所得金額の割合(所得率) は5.5%
  • 利益計上法人における益金処分の内訳を構成比で見ると、社内留保49.4% 、支払配当27.4% 、法人税額等14.0% 、その他の社外流出9.2%

上記のことが気になります。
法人数は連結子法人の1万2,671社を差し引くと実質は
269万3,956社になります。

その中で欠損法人(赤字企業)が168万社。
半数を超えているということ。
ということは、黒字企業なら上位4割に入っていることになります。

思ったより黒字企業が少ないのでは、と感じる人も多いのでは
ないでしょうか。
ただ、赤字企業の中には意図的に赤字にしている企業もあるので
経営がわるいとは一概には断定できません。

欠損法人数の推移表
会社標本調査2017(国税庁)より
https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/kaishahyohon2017/pdf/h29.pdf

欠損法人の割合はリーマンショック以降にピーク(72%)が
あり、その後減少しています。
8年連続で減少し続けているのがわかります。

業種別欠損法人割合ランキング

業種別の欠損法人の割合を見ると次のようなランキングに
なります。
割合の高い順だと↓

  • 出版印刷業:74.8%
  • 繊維工業:74.4%
  • 料理飲食旅館業:73.3%

となり赤字企業の割合が多い業種がわかります。

逆に割合の低い順は↓

  • 建設業:57.2%
  • 運輸通信公益事業:57.9%
  • 不動産業:59.1%

となっています。
活況になっている業界が上位を占めていることに気がつきます。

特に、欠損法人数の割合が少ない業界ほど法人数が多いことが
目につきます。
巨大業界が活況になればなるほど景気にも大きな影響があることが
想像できます。

まとめ

今回は国税庁のデータから企業の状態を見てきました。
欠損法人(赤字企業)の割合を業界別に見るだけで
それぞれの業界特有の状態を感じます。

世相を反映した内容だと感じます。
欠損法人の割合が多い「出版印刷業」は脱皮を求められている
業界で厳しい状況が想像できます。

逆に欠損法人の割合が少ない「建設業」は活況が続いているように
感じます。

こうしたデータは自分の目で現場を見るときに役に立つ。
データをもとに比較しながら見ることができるのです。
データをそのまま信じるのではなく、あくまでも部分的な
ものだと認識しながら見ること。
そうすることで現実の世界が透けてみえてきます。
そのためにもこうしたデータ把握が求められているのです。