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~経営には優先順位がある~経営コンサルタント藤原毅芳執筆

良いわるいで判断する経営

経営は複雑系。
こたえがひとつではない。

決めつけて判断すると大きな間違いを引き起こす。
そんな事例ばかりだ。

同じようなことが発生しても時と場合によっては
判断が反対にになることもあるのだ。
それを朝令暮改という表現で表すこともある。

今回は「良い」「わるい」という基準を事例をもとに
探ってみたい。

ビジネスパーソン

良い利益、わるい利益

利益はすべて良いものだ、と考えている人がいます。
営業部の報告では「利益をあげた」と声高々に報告していますが
その内容について精査が必要なのです。

というのも、利益を優先してしまうため顧客のことを後回しに
してしまう人がいるのです。

顧客のためにならないのに自分たちの利益のために販売してしまう
行為がそれにあたります。たとえば押し込み販売。
月末だから、期末だからといって押し込み販売をしてしまえば
その後の販売に影響するのです。

顧客満足度が低く、顧客の在庫過多にもなります。
目先は利益があがりますが、その後が続かない。
それでは良い利益とは言えないのです。

良い利益とは

  • 顧客満足度が高い
  • 取引が継続する

利益のことです。
わるい利益とは逆。顧客満足度が低く、継続しない取引から
得られる利益のことです。

リーダーや経営者は、この良い利益、わるい利益を見極めていく
必要があるのです。

良い顧客、わるい顧客

顧客もすべてが神様ではありません。
その点は最近、理解されるようになっています。
ビジネスは、すべての顧客の言いなりになることではないのです。

顧客を分けるときに取引金額によって顧客を分類します。
そのとき、大口のお客様がランクの高い顧客となります。
しかし、大口のお客様だから「良い顧客」とは限りません。
どういうことか。

大口の顧客でも要求がキツイ顧客がいるからです。
「在庫を持て」
「小分けで配送しろ」
「支払いは6ヶ月後」
「バックマージンをよこせ」
など要求にはキリがありません。
ここに書けないような内容を要求されている事例を見たことも
あります。

これでは健全な取引先とは言えないのです。
隷属的な関係なので、いくら取引額が大きくても良い顧客には
ならない。

ここは経営者が判断すべき。
すぐに取引をなくすことはできなくても、将来的には取引額を
少なくする決断をすべきなのです。
良い顧客を増やすことは「継続的経営」の根本です。
そのためにも新規開拓は継続することです。

ダーツ

良い在庫、わるい在庫

経営の調子がわるくなると「在庫はわるい」とすべてを
全否定する意見を言われることがあります。
これ、本当でしょうか。

在庫のすべてがわるいという判断は経営を見誤ります。
経営の挽回の機会を逃すことにもなりません。
経営の生命線を握る判断になるので繊細さが求められます。

というのも、在庫が多いから「一律在庫を減らす」と
判断する人がいるからです。
これでは、売れ筋在庫も減らすことになり販売機会ロスを
招きます。

ではどう判断するのか?
・顧客にとって「短納期」でほしい商品
・顧客側で欠品が許されない商品の在庫
・売れ筋の在庫
などを残す決断をすることです。

それ以外は減らしても問題なしと判断できるのです。
ここが良い在庫、わるい在庫の境界線。
見極め基準を社内で明確にしておくことです。

ビジネス

良い残業、わるい残業

最近話題の働き方改革。
残業の上限規制が中小企業でも2020年4月から開始されます。
そのため残業について各社議論されていると思います。

その中で気にしているのが、良い残業とわるい残業。
この話題、講演でも取り上げたことがありますが残業の中にも
良い、わるいがあるのです。

わるい残業から考えてみます。
わるい残業とは不必要な残業をしていること。
もしくは工夫していれば残業しなくてもよかった場合
になります。

昔から「仕事が遅い人ほど残業している」と揶揄されてきました。
それが今回の働き方改革で明確になるのではないでしょうか。

では良い残業とはなにか。
良い残業とは必要な残業であり、利益につながる残業のことを
指しています。

企業によっては繁忙期があり残業をしなければなりません。
また営業部などは顧客の要望で残業を必要とする場合もあります。
どちらも経営的には良い残業。

ここでひとつ結論を言えば、残業に関しては経営者が良い残業と
わるい残業を毎日判断することです。
そこまでしなければ残業に関しては現場では判断ができない
ケースが多いと感じています。

まとめ

利益、顧客、在庫、残業を良い・わるいの視点で考えてみました。
他にも判断に迷うこと、判断が時間とともに変わってしまうものは
あります。
ただ理解しておきたいのは、良いわるいの判断には根拠が必要だと
いうこと。

ときには判断の理由を質問されることもあるからです。
説明ができてはじめて経営が成立する。
そう考えておくことです。