【fjconsultants365日Blog:4,016投稿目】経営コンサルタント藤原毅芳執筆

行動変容へのプロセス

人の行動が変わることを「行動変容」と言いますが
行動変容させるには様々な手法が試されてきています。

個人的にも、仕事の課題となるのは解決策を見つけること
だけでなく、行動変容を促すことも重要な課題のひとつ。
常に解決策(経営戦略&経営計画)と新たな実践
一緒に成立しなければならないのです。

答えがひとつではなく、また特効薬となる解決策もない分野なので
どれだけ考えても、調べても、ゴールはありません。

しかし、だからこそ時間を投入できる分野だと感じています。
今回はその中で「ナッジ」という手法について取り上げます。

ブナ

nudgeナッジ

ナッジ」という手法は、米国リチャード・セイラー教授が
提唱しているもので、行動経済学に基づいています。

言い換えると、科学的分析の知見に基づく工夫によって
人の行動を変える手法。
人がより望ましいと思われる行動を自然に選択するよう誘導する
手法です。

具体的には事例を見るとわかりやすいです。

足跡と矢印

京急品川駅では2017年からホーム床面に整列位置が
表記されるようになりました。

京急品川駅ホーム
https://www.keikyu.co.jp/report/2017/20170424IN_17008YM.html

この駅は同じホームに行き先が違う電車が入ってきます。
そのため、行き先が違う乗客が同じ場所で待機していたのです。
特に、京急品川駅は羽田空港に向かう人も多く、スーツケースを
持った人と他の乗客が混在するのです。
乗り降りするときに、列の前の人は乗らないけど、列の後ろに
並んでいる人が乗り込むことが発生していました。
スーツケースなどがジャマになっており乗客にはストレスが
生じていたのです。

そうした不便さを改善するために、4種類の場所に待機位置を
変更し、足元に表記しました。
これで大幅に乗客ストレスが改善されました。

ホームで迷う人も減り、自らの選択で行き先のエリアに待つ
ことができ、駅員の誘導なしでスムーズに乗り降りすることが
できるようになったのです。
個人的にもよく利用する駅なので、この改善は本当にありがたい。
そう感じていました。
これが、ナッジの事例のひとつと考えています。

似たような事例として、コンビニのレジ待ち。
これも待つ場所を床に足跡表記するようになってから横から入る
人もなくなり順番が確保されるので顧客のストレスが軽減されています。

省エネ

他の事例として、政府が取り組んでいる事例があります。
ナッジを用いて省エネをすすめているのです。
たとえば、環境省では大きく取り組んでいるのが
下記のページからわかります。


具体的には実証事業として下記アプリを展開しています。

ナッジ事例

エコドライブを選択するように誘導するアプリです。
運転についてエコ診断がされ、顔マーク表示が出てきます。
そのため自然とエコドライブを選択したくなるようになっています。

環境省以外でも取り組まれています。
経済産業省ではプロジェクトチーム「METIナッジユニット」を
設置しています。
https://www.meti.go.jp/press/2019/05/20190521002/20190521002.html

樹木

まとめ

このように行動変容を促すナッジという手法は
有効性が高いです。

ここで取り上げたのナッジのほんの一部。
今後は事例が数多く出てくるのではないでしょうか。
楽しみな手法のひとつです。